冬のレイアリングって難しいですよね。登山口はすごく寒いのに、登り始めると途端に暑くなる。そして稜線に出るとまた寒い、、、
冬は汗冷えしないために頻繁なウェアの脱ぎ着が必要ですが、正直面倒ですよね。これを解決するのが行動する保温着、アクティブインサレーションです。今回紹介するのは、atelierBluebottle(アトリエブルーボトル)が出しているアクティブインサレーション、ALPHA WOOL JACKETです。購入を検討している方の参考になれば幸いです。
おすすめポイント
- 雪山で十分使える性能(保温性・透湿性・防水性・速乾性)
- ストレッチが効いていて着心地がいい
- 暖かいのにオーバーヒートしづらい
- 気軽に洗濯できる
- おしゃれで人と被らない
注意点
- 他社に比べるとやや重い
- ポケットにファスナーがない
- 暑がりの人には暑すぎる
- サイズが大きめ
- フードのコードロックが特殊
- ポケット裏地がトリコット(2022年以前)
atelierBluebottleについて
atelierBluebottleは、企業でバッグデザイナーを10数年経験した夫婦が、「いつでもどこでも、モノを買えることが当たり前になってしまった現代で、その場所でしか買えないモノ、丁寧なモノづくり」をコンセプトとして立ち上げたブランドです。
UL系のガレージブランドですが、ULに振り切っているわけではなく、着心地の良さもかなりこだわって追及しているため、軽さと着心地両方とも欲しいという方におすすめのブランドです。デザイン性の高いおしゃれなULバックパック「PAC-03」が有名ですが、サコッシュやウェア類も幅広く取り扱っています
ALPHA WOOL JACKETの概要
- 表地:2.5レイヤーナイロン100%(耐水圧:20,000mm、透湿:20,000g/sm)
- 裏地:ALPHAWOOL(ポリエステル63% ウール33% ナイロン4%)
- 首周りの裏地:トリコット
- ポケット裏地:トリコット(2023年からはALPHAWOOL)
- 重量 : XS:542g、S:570g
- サイズ展開:XS~XL
- 価格:¥38,500
裏地:ALPHAWOOLの特徴と使用感
ALPHAWOOLはPolartec® Alphaにウールを合わせた生地のことです。
Polartec® Alphaは軽量、通気性、快適性、保温性(濡れてもキープされる)、速乾性に優れたインサレーション素材です。さらに圧縮性があるためコンパクトで持ち運びしやすい、洗濯機使用可能という特徴を持っています。これだけでも十分ですが、このPolartec® Alphaに保温性、防臭性があるウールを合わせたのがALPHAWOOLになります。
保温性・通気性・速乾性について
ウールが入っているからか、確かに暖かいです。私は雪山の稜線でハードシェルの代わりに着用していますが、寒くもなく暑くもなくちょうどいい温度で行動することができます。
ただし山頂で停滞する場合は暖かいフリースやダウンなどのインサレーションを着る必要があります。また、ベンチレーションを利用しても、標高が低い樹林帯の登りではどうしても暑さは感じるので、潔く脱いで、標高が上がってきたら着るようにしています。それでも、ダウンのようにオーバーヒートすることはないので、確実に脱ぎ着の回数は減りました。
背中側はどうしても汗をかいてしまいますが、速乾性があるためか、そこまで気になったことはありません。
軽量性、快適性について
重量はXSサイズで、542g(実測)でした。Sサイズは570gなので30g程軽いです。
ちなみに山と道のAlpha Anorakは、XSサイズで351g、Sサイズで390gなので、数値で見るとALPHA WOOL JACKETはかなり重量がありますね、、、軽量化の観点からはやや残念です。
しかし、公式でも言っていますが、着ると重いと感じることはありませんし、保温性も高いです。ハードシェルとミドルレイヤーが一緒になった重さと考えれば悪くはありません。
それにALPHA WOOLのふわっとした着心地と、表地の素材がめちゃくちゃ伸びるので窮屈さも感じません。
洗濯機使用可能
普通に洗濯機で、普通の洗剤で洗っています。2022年モデルなので約2年使っていますが、傷んだり縮んだりしていません。洗濯に気を使わなくていいのはかなり扱いやすいです。
表地:ナイロン100%(耐水圧20,000mm、透湿20,000g/sm)
シェルの部分ですね。ナイロン100%の素材でできています。耐水圧:20,000mm、透湿:20,000g/smと雪山に十分なスペックをもっています。
公式には、”ストレッチが効いて軽くて強度があって透湿性がある生地”とありますね。
先ほども書きましたが、ストレッチ性はすごいです。生地自体も柔らかくハードシェルのガシガシした感じはないので、テント泊など、これを着たままでもストレスなく寝られます。
耐水圧について、今まで雪山で何度も使っていますが、雪が染みてくることはありません。ただシーム処理がされているわけではないので、豪雨のなか長時間となるとわかりません。しかし基本的にスノーハイクを想定して作られているので、雨が降るような標高ならばレインウェアが無難でしょう。雪が降る山域なら問題ないと思います。
透湿性について、服の中で蒸れることはあまりないので、十分に透湿してくれていると思います。
サイズ感
XSサイズです。身長159㎝、普段はメンズSサイズを着用しています。
袖は手の甲が隠れるくらい、裾はおしりが隠れるくらいです。
全体的にオーバーサイズな着用感です。中にダウンやフリースを着ることが可能です。小柄な女性だとかなり大きいと感じるかもしれません。
ALPHA WOOL JACKETの構造:各パーツ
ポケット
ポケットにはファスナーは付いていませんが、布の返しがついているので、普通に歩く分にはスマホが落ちてしまうこともないです。ポケットに手を突っ込んだ時にファスナーに引っかかったりするのが、地味にストレスだったりするので、個人的にはポケットにファスナーがないのはうれしいです。
厳冬期用の手袋ブラックダイヤモンドのソロイストフィンガー(片手)を入れてみました。かなり大きい作りなのですっぽり入ります。500mlのペットボトルなんかも入ります。
ひとつ気にかかっていたのは、ポケットの裏地がトリコットという点です。ささくれが引っかかったり肌触りが悪いので、手カサカサ族としては非常に残念なポイントでした。しかし、私が購入した次の年のモデルからはALPHA WOOLに変更となっているので、これから購入する方がとても羨ましいです。
フード、首元、裾
フードはヘルメットをした状態でもかぶれるように大きめに設計されています。裏地もALPHA WOOLが使用されているので柔らかくて暖かいです。
フードを絞るためのコードロックの方法が少し特殊で、コードを穴の太い方から細い方へ移動させるとコードが固定されるような設計になっています。よくあるバネ式よりも細かい操作を必要としないため、手袋をしたまま操作することが可能ですが、慣れるまでは使いづらく感じると思います。
首の部分はファスナーを上まで上げると、鼻下くらいまで覆われます。顎にあたる部分はトリコットになっていますが、顎はカサカサ肌じゃないので問題ありません。
裾はバネ式のコードロックが左右についています。
ベンチレーション
ベンチレーションにはファスナーがついていて開け閉めできます。ウェア自体がオーバーサイズなので脇よりもかなり下めに位置しています。ポケットより少し上くらい。だいたい手袋をしているので、ファスナーを開けているとポケットなのかベンチレーションなのかわからなくなる時があります。私だけでしょうか。
前面のファスナーはダブルジップになっていて、全開にしたり、逆開きにしたりと、体温調整がしやすくなっています。
ファスナーはビスロン®ファスナーを使っていて、コイルファスナーよりも凍りにくいようです。それでも凍ることがあるみたいですが、今のところ凍ったことはありません。
あとがき
ザイルを使用するようなハードな雪山に登る方、軽量性を求める方、暑がりの方にはあまりお勧めしません。また、サイズが大きめなので購入前にサイズ感を確認した方がいいと思います。
初めてのアクティブインサレーションですが、行動中も着続けられるのはすごく便利です。雪山は装備が多いので、軽量なのも重要ですが、着心地が良いのも結構重要かなと思います。また、ハードシェルだとメンテナンスに気を使いますが、ALPHA WOOL JACKETは洗濯機で気軽に洗えるのもありがたいです。
まだアクティブインサレーションを持っていない方、持っているけどALPHA WOOL JACKET が気になっている方、ぜひ検討してみてください。
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