日帰り用やテン泊、雪山用など様々なザックがありますが、そんなにたくさん買うお金もスペースもない!軽量のULザックで、できれば日帰りから雪山テント泊まで1年中使えるものを!と思い、去年ジマービルト(ZIMMER BUILT)BigStep Pack サンカクスタンド別注を購入しました。日帰りや夏山・冬山テント泊で1年間使った使用感をレビューします。
このザックがおすすめの人
- 軽量のザックがほしい
- 日帰りからテント泊、雪山でも色々使えるザックがほしい
- 丈夫で長く使えるザックがほしい
- 人と被らないかっこいいザックがほしい
ZIMMER BUILTについて
ZIMMER BUILTとは
オハイオ州ドイルズタウンでクリス・ジマーが主宰するコテージギアメーカー。 定番製品を在庫販売するのではなく、カスタムバックパックの製作を主体としています。ハイキングとテンカラを楽しむクリスのもとには全米から多くのリクエストがよせられます。トリプルクラウンハイカーが自身の求める理想のバックパックを相談することもあれば、Tenkara USAがアメリカの実情にあったテンカラ用アクセサリーのOEM生産を依頼することもあります。そして日本からもハイカーズデポが「パイカ」「チップ」という2つのオリジナルバックパックを依頼しています。今日もひとりでミシンに向き合い、ひとつひとつにキモチをこめた製品が生み出されています。
ザックの仕様
- ロールトップ式
- メイン収納:一気室(約40L)
- 外部ポケット:左右、真ん中、底にメッシュポケットあり(約7L)
- 背面パッド:なし
- フレーム:なし
- チェストストラップ:あり
- ヒップベルト:あり(取り外し不可)
- 重量: 395g
- 本体素材:Ultra200
- ショルダー、ヒップベルト素材:ダイニーマ+3Dメッシュ
- 価格:¥49,610 JPY
特徴
生地について:強靭さと圧倒的軽さを備えたUltra200
Ultra200とは、UHMWPE(ダイニーマ):67%、リサイクルポリエステル:33%に、防水性200psi(耐水圧約10640㎜)のRUV™ filmがラミネートされた超軽量・高強度・防水のハイスペック生地のことです。
UHMWPE(ダイニーマ)とは超高分子量ポリエチレンを原料とする超高強度の素材のことです。
DCFとは違うの?
DCF(ダイニーマコンポジットファブリック)もUltra200と同じく生地にUHMWPEを使用しています。しかし、UHMWPEの配分がUltra200は67%なのに対し、DCFは20%です。
これにより、Ultra200はDCFよりも引裂強度で3倍、耐摩耗性で7倍以上もの高強度を誇っています。
そのためUltra200はDCFの上位互換と言えるでしょう。ただし、重量に関して若干ではありますが、DCFの方が軽量となっています。
今まで厳冬期の鳳凰三山や残雪期の奥穂高、マイナールートの藪漕ぎなどガシガシ使ってきましたが、破れたりする気配はありません。サンカクスタンドの商品説明でも「一時的に脱いだアイゼンをそのまま突っ込んでおけます」とあります。アイゼンは一応ケースに入れていましたが、パンパンに詰めたザックにスコップを突っ込んでも余裕でした。
また、生地自体が防水のため、ザックカバーは必要ありませんが、シーム処理はされていないため、念のためゴミ袋やパックライナーを内部に入れておく必要があります。雨の日も使用したことがありますが、今のところ中が濡れていたことはありません。
生地自体の印象としては柔らかく、自立はしません。やや透け感はあり、中に派手な色を入れるとぼんやり見えます。
バックパックの構造
メイン気室
背面パットなく、フレームもないため、何も入れていないとふにゃふにゃです。パッキングには少し工夫が必要です。
メインは一気室で、内部にポケットはありません。
ロールトップ式で、両サイドのストラップで止めます。これが少し面倒で真ん中のストラップのみ留めてることが多いです。晴れていれば特に問題ありません。
トップはボタンで閉めるタイプですが、くるくる巻ければ、ボタンを留めなくても中身が出ることはありません。
外ポケット
外のポケットは左右と真ん中に分かれていて、深さがあり大容量のため非常に使いやすいです。入れ忘れたものを後から入れれたり、かなり雑に詰め込むことができるので、ズボラな人間にはありがたい設計です。
左右のポケットは同じサイズで、水筒が2本余裕で入ります。アイゼンも入ります。
真ん中のポケットにはスコップやヘルメットなど大きなものも収納可能です。スコップやヘルメットを入れるとデッドスペースができるので、そこにおやつ入れたり、手袋やレインウェアを入れたりできます。
それぞれのポケットに排水の穴ががあるので、雪がついていても解けたときに排水してくれます。雨の日も水が溜まることはありませんでした。
また、上部はメッシュになっているため、濡れたものなど躊躇なく突っ込めます。
バックパックの底にも細かいメッシュのポケットがあり、かなり伸縮性があるので、水筒や行動食などを入れることができます。耐久性が気になりますが、今のところ劣化している感じはしません。意外とバックパックを置く時って横倒しに置いたりするので、ダメージが少ないのかも。
ショルダー・ヒップベルト
ショルダーの厚みは約1㎝。カリマーのショルダーと比較するとこんな感じです。かなり薄いです。
ULザックの欠点としてよく言われるのが、肩の痛みですよね。ULザックを買ったけど、肩が痛くて結局前のザックに戻ったという話もよく聞きます。
肩の痛みに関しては、10Kgを超えると結構辛いです。しかし、以前よりもかなり軽量化しているため、カリマーを使ってた時とあまり変わらないか、それよりもマシな気がします。今のところ1泊2日総重量12Kgまでは何とか背負えています。それ以上の重さ、長期縦走となるとまた変わってくるかもしれません。
ヒップベルトには一応薄いクッションがついているため、腰加重で背負うこともできますが、がっしりと腰をホールドしてくれるわけではないため、一時的な肩の休憩に使います。
肩加重の場合ヒップベルトはウエストの位置に来るため、バックパックの揺れを軽減する程度の役割で、あまり必要ないですが、取り外しはできません。
背面
背面パッドがないため、メイン気室の背中側に固いものがあるとかなり背負い心地が悪いです。内部にマットを入れるか、ウェアなどの柔らかいものを背面に配置する必要があります。
背面にはメッシュなどはついておらず、Ultra200の生地そのままです。別売りのミネルバのメッシュパネルを取り付けることが可能なため、暑さが心配な方は、購入を検討してもいいかもしれません。
私の場合、メッシュがあっても汗はかくし、今のところそこまで気になっていないので使用していません。
ループ
ループは外ポケット側に3カ所、ウエストベルト側に左右合わせて4カ所ついています。
そのままでは、ピッケルやストックを装着できないので、ポケット側の3カ所のループには、自分でパラコードの輪っかを付けました。(写真3つ目)
ウエストベルト側のループは、ウエストポーチなどが付けられるようです。
まとめ
良かった点
- 軽量:47Lのバックパックで395gは驚異的。
- 汎用性が高い:工夫次第で日帰り登山から雪山のテント泊まで使えます。
- 高強度の生地:あまり繊細なタイプではないので、ガシガシ使えるのはありがたいです。また防水なのに加水分解しないため、長期間使えます。
- デザイン:かっこいいです!ジマービルトはPikaPackが有名ですが、BigStepPackを使っている人は見たことがありません。人被らなくて良い。
- 外ポケットが大きい:外付けを工夫しなくても、ほとんどはポケットに入るので適当に詰めれます。
悪かった点
- 入手しづらい:サンカクスタンド別注はあまり在庫がありません。オリジナルも国内では置いていないため、個人輸入する必要があります。
- 価格が高い:5万弱するのでなかなかの出費です。ただUltra200を使用した他社のバックパックよりは安いです。まったく同じではないですが、オリジナルのBigStepPackを個人輸入すればさらに安く済みます。
- ハイドレーションチューブの穴がない:必要な方は注意
- ショルダーが薄くて細い:もう少ししっかりしたショルダーならもっと楽なのかなと思いました。
あとがき
本当に頑丈です。最初はおそるおそる使っていましたが、藪漕ぎで木の枝がガツガツ当たっても、岩にこすっても、スコップを適当に突っ込んでも、ダメージを感じません。最強の相棒を手に入れました。
サイズ感について、私は日帰りから雪山のテント泊まで使っていますが、もちろん全ての山行に適切なわけではありません。日帰り登山で使用するには大きすぎてバランスが良くないですし、雪山テント泊に行くには現状かなりカツカツです。当然日帰りにはもっと小振りなザック、雪山テント泊には大型ザックを使うのが一番良いです。
ただ、ザックを保管するは場所を取るし、雪山のテント泊に使う大型ザックなんて1年を通して数回しか出番がありません。とりあえず、これさえあれば色々行けるというザックが、私にとってはジマービルトのBigStepPackでした。なにより、あーでもないこーでもないとパッキングを工夫している時間も楽しいのです。
荷物が軽ければ、疲労も少ないし、より遠く長く歩くことができます。この相棒と共にもっとたくさんの旅をしたいと思います。
これからUL化を目指している方、1つのザックでいろいろな山行に行きたい方、なかなか入手が難しいですが、見つけた際にはぜひ!ちなみに、少し仕様は違いますが、サンカクスタンドのもじゃさんがJMTで使用していますので、そちらも参考にしてみてください!
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